お金の将来をシミュレーションする無料ツール集

過去実績・決定論・モンテカルロ — 3つのシミュレーション手法の違いと使い分け

はじめにお読みください:本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。いずれの手法も将来の運用成果を保証するものではありません

「老後にお金は足りるのか」を計算する方法はひとつではありません。当サイトには取り崩し系のツールが3つありますが、それぞれまったく違う考え方で計算しています。同じ前提を入れても答えは一致しません——そしてそれは正常なことです。この記事では、3つの手法の仕組みと長所・短所、目的別の使い分けを解説します。

目次

  1. 3つの手法の全体像
  2. 手法① 過去実績(ヒストリカル)
  3. 手法② 決定論(期待リターン一定)
  4. 手法③ モンテカルロ(乱数試行)
  5. なぜ答えが食い違うのか
  6. 目的別の使い分け

1. 3つの手法の全体像

手法リターンの扱い答えの形当サイトのツール
過去実績
(ヒストリカル)
実際の過去データを
そのまま再生
成功率
(過去の開始年のうち何%が生き残ったか)
4%ルール検証
決定論
(デターミニスティック)
毎年同じ
期待リターン
1本の資産推移
(何年もつか)
つみたて取り崩し
モンテカルロ平均と振れ幅を決めて
乱数で何千回も試行
確率の分布
(成功確率・資産の幅)
モンテカルロ取り崩し

2. 手法① 過去実績(ヒストリカル)

「1928年に引退していたら?」「1929年なら?」……と、過去の実際の市場データで取り崩しを追体験し、資産が尽きなかった割合=成功率を数える手法です。トリニティスタディがこの方式で、当サイトの4%ルール検証ツールは米国1928〜2025年のデータで再現しています。

長所

短所

3. 手法② 決定論(期待リターン一定)

「年率4%で運用できたとしたら」と毎年同じリターンを仮定して資産推移を1本描く手法です。つみたて取り崩しシミュレータ目標額からの逆算FIRE達成年数つみたて終了金額がこの方式です。

長所

短所

4. 手法③ モンテカルロ(乱数試行)

期待リターンと振れ幅(標準偏差)を決め、乱数でリターン系列を何千通りも生成して、成功した割合や資産額の分布を見る手法です。モンテカルロ取り崩しシミュレータがこの方式です。

長所

短所

5. なぜ答えが食い違うのか

たとえば「3,000万円を年4%で取り崩す」を3つの手法で見ると、決定論では「期待リターンが4%以上なら永遠にもつ」、過去実績では「9割強の開始年で30年もった」、モンテカルロでは「成功確率は前提次第で7〜9割」といった違う形の答えが返ってきます。

これは矛盾ではなく、それぞれが違う質問に答えているだけです。決定論は「平均どおりに進んだら?」、過去実績は「過去に起きたことに耐えられたか?」、モンテカルロは「想定の範囲でどれくらいの確率か?」。3つの答えがそろって初めて、計画の全体像が見えます。

6. 目的別の使い分け

おすすめの順序は「決定論で計画を作る → 過去実績で耐久性を確かめる → モンテカルロで幅を見る」です。3つの手法で見ても大丈夫そうな計画は、それだけ頑健だと言えます。

出典・参考文献

  • Cooley, P. L., Hubbard, C. M., & Walz, D. T. (1998). "Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable." AAII Journal, 20(2), 16–21.(ヒストリカル方式の代表例)
  • 各手法の計算仕様: 当サイト各ツールの「計算方法について」参照(4%ルール検証つみたて取り崩しモンテカルロ