1. 前提:25倍ルール(4%ルールの逆算)
FIREの必要資産の目安として広く使われるのが「年間支出の25倍」です。これは「資産の4%を毎年取り崩しても長期間もつ」という4%ルールの逆算(100÷4=25)です。
※取り崩し率を3%と保守的に見るなら「×33.3」になります。
4%ルール自体が米国データの経験則であり保証ではないこと(日本の投資家向けの注意点)を踏まえたうえで、以下ではこの25倍を基準に各タイプを見ていきます。
2. 4つのFIREタイプ
| タイプ | 生活水準 | リタイア後の労働 | 必要資産 |
|---|---|---|---|
| Fat FIRE | 余裕のある生活 | なし | 最も多い |
| Lean FIRE | 質素な生活 | なし | 少なめ |
| Barista FIRE (サイドFIRE) | ふつう | パート等で一部を稼ぐ | 中間 |
| Coast FIRE | ふつう | 生活費分は働く (貯蓄はもうしない) | 「老後分の種銭」のみ |
- Fat FIRE:支出を切り詰めずに完全リタイアする王道型。年間支出が大きいぶん、必要資産も最大になります。
- Lean FIRE:生活をミニマルにして必要資産を圧縮する型。達成は早い一方、想定外の支出(医療・家族の変化)への余裕が小さいのが弱点です。
- Barista FIRE:生活費の一部をパートタイム労働などで賄い、残りを資産から取り崩す型。日本では「サイドFIRE」という呼び名が近い概念です。労働収入がある分、必要資産を大きく減らせます。
- Coast FIRE:「老後に必要な資産の“種”」を早めに貯めきってしまい、以後は追加の貯蓄をせず、生活費だけ稼ぎながら種銭の複利成長に任せる型。「もう老後のための貯蓄はしなくていい」状態を指します。
3. タイプ別・必要資産の計算式と例
Fat / Lean FIRE(完全リタイア型)
例: 年間支出300万円なら 7,500万円、200万円なら5,000万円、500万円なら1億2,500万円。FatとLeanの違いは式ではなく「年間支出をいくらに置くか」です。
Barista FIRE(一部労働型)
例: 年間支出300万円のうち150万円をパート収入で賄うなら、資産から取り崩すのは150万円。必要資産は 150万 × 25 = 3,750万円。完全リタイアの半分で済みます。少しの労働収入が必要資産を劇的に減らすのがこの型のポイントです。
Coast FIRE(貯蓄卒業型)
例: 65歳時点で3,000万円が目標、現在35歳(30年後)、実質リターン年3%と仮定すると、3,000万 ÷ 1.0330 ≒ 約1,240万円。つまり35歳時点で約1,240万円を運用に回せていれば、以後追加の積立をしなくても複利だけで目標に届く計算です(あくまで一定リターンの仮定です)。
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4. 日本でFIREを目指すときの注意点
- 社会保険料を支出に入れ忘れない — 退職すると国民健康保険・国民年金の保険料を自分で払います。会社員時代の感覚より生活コストは増えがちで、「年間支出」の見積もりに必ず含める必要があります。
- 年金への影響 — 早期退職すると厚生年金の加入期間が短くなり、将来の年金額が減ります。一方で年金があること自体は米国型FIRE論より有利な条件です(詳細)。
- 税金と口座 — 取り崩し時の税(約20%)は25倍ルールに含まれていません。新NISAの非課税枠を取り崩し原資の中心にするのが有力です。
- 4%は保証ではない — 特に40〜50年の超長期リタイアでは、過去データでも4%の成功率は30年時より下がります。3〜3.5%で見積もる、Barista型で労働収入の柔軟性を残す、といった余裕の持たせ方があります。
5. ツールで自分の数字を確かめる
当サイトのツールを使うと、この記事の式を自分の数字で確かめられます。
- 目標額まで何年かかる? → FIRE達成年数シミュレータ
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- その資産で取り崩しは何年もつ? → 4%ルール検証・モンテカルロ
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出典・参考文献
- Bengen, W. P. (1994). "Determining Withdrawal Rates Using Historical Data." Journal of Financial Planning, 7(4), 171–180.(4%ルールの起源)
- Cooley, P. L., Hubbard, C. M., & Walz, D. T. (1998). "Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable." AAII Journal, 20(2), 16–21.
- FIRE4類型の呼称は米国のFIREコミュニティで慣用的に使われる分類であり、公的な定義はありません。
- 計算例: 本文中の式による当サイトの試算(1.0330≒2.427で検算済み)