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iDeCoは受け取るときに課税される — 退職所得控除と「10年ルール」(2026年改正)を解説

はじめにお読みください:本記事は2026年7月時点の制度に基づく一般的な情報提供であり、税務助言ではありません。制度は改正されることがあります。個別の税額は加入年数・退職金の有無・受取時期などで大きく変わるため、実際の受け取り方は税理士等の専門家や金融機関にご確認ください。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は「掛金が全額所得控除」「運用益が非課税」という強力な税優遇で知られています。しかし意外と知られていないのが、受け取るときには原則として課税対象になるという事実です。しかも2026年1月からは、いわゆる「10年ルール」への改正で、受け取り方によっては税負担が数十万円単位で変わるケースが出てきました。この記事では、一時金受取を中心に受取時課税の仕組みを整理します。

目次

  1. iDeCoの税優遇は「3段階」— 受取時だけ性質が違う
  2. 一時金受取:退職所得控除の仕組みと計算式
  3. 計算例:控除に収まる場合・超える場合
  4. 2026年1月改正「10年ルール」とは
  5. 年金受取・併用という選択肢
  6. 結局どうすればいい?

1. iDeCoの税優遇は「3段階」— 受取時だけ性質が違う

iDeCoの税制は「拠出時」「運用中」「受取時」の3段階で考えます。

段階扱い内容
拠出時優遇掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
運用中優遇運用益が非課税
受取時原則課税一時金=退職所得、年金=雑所得として課税対象。ただし大きな控除あり

つまりiDeCoは「非課税」ではなく、正確には「課税の繰り延べ+控除による軽減」の仕組みです。控除の枠に収まれば実質非課税にできますが、枠を超えると課税されます。この点が、受取時も完全に非課税のNISAとの大きな違いです。

2. 一時金受取:退職所得控除の仕組みと計算式

iDeCoを一時金で受け取ると、税法上は退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。iDeCoの場合、勤続年数の代わりに加入年数(掛金を拠出した期間)で控除額を計算します。

退職所得控除額
・加入20年以下: 40万円 × 加入年数(最低80万円)
・加入20年超 : 800万円 + 70万円 × (加入年数 − 20年)
課税される退職所得 = (一時金 − 退職所得控除額) × 1/2
税額 = 退職所得 × (所得税率〔累進〕+ 復興特別所得税 + 住民税10%)

ポイントは2つあります。①控除を超えた分もさらに半分にしてから課税される、②退職所得は原則分離課税で他の所得と合算されない。このため退職所得の税負担は他の所得に比べてかなり軽く設計されています。

3. 計算例:控除に収まる場合・超える場合

例① 加入15年・一時金600万円 → 税額ゼロ

控除額 = 40万円 × 15年 = 600万円。一時金600万円は控除内に収まるため、非課税で受け取れます。

例② 加入25年・一時金1,300万円 → 税額 約11万円

控除を超えても「超過分の半分に軽い税率」なので、単独で受け取る限り負担は比較的小さいことがわかります。問題は、会社の退職金と時期が重なる場合です。次の「10年ルール」がここに関わってきます。

※例②の税率は課税退職所得75万円に対する所得税率5%(+復興特別所得税2.1%)で計算した概算です。金額が大きいほど累進で税率は上がります。

4. 2026年1月改正「10年ルール」とは

退職所得控除は「勤続(加入)期間」に応じて与えられる枠なので、iDeCoと会社退職金を近い時期に両方受け取ると、期間が重複する部分の控除は二重には使えません(重複調整)。この調整の対象になる「近い時期」の定義が2026年1月に変わりました。

iDeCo一時金を先に受け取り、後から会社退職金を受け取る場合:
改正前(〜2025年): 退職金の前年以前4年内のiDeCo一時金と調整(実質5年空ければ別枠)
改正後(2026年1月〜): 退職金の前年以前9年内のiDeCo一時金と調整(実質10年空ける必要)

これが通称「5年ルール→10年ルール」の改正です(令和7年度税制改正)。よくある「60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取る」プランは、改正前なら両方フルに控除を使えましたが、改正後は調整対象となり、重複期間分の控除が差し引かれて税負担が増えるケースがあります。解説記事では影響が数十万円に及ぶ試算例も紹介されています。

なお、逆の順序(会社退職金が先、iDeCo一時金が後)の場合は、以前からより長い「前年以前19年内」の調整期間が適用されており、こちらは今回の改正対象ではありません。順序によってルールが非対称である点に注意してください。

5. 年金受取・併用という選択肢

iDeCoは一時金のほか、年金形式(分割受取)併用も選べます(選択肢は金融機関により異なります)。年金受取の場合は雑所得となり、公的年金等控除が適用されます。公的年金と合算して控除枠を計算するため、公的年金の受給が始まる前(60〜64歳など)に受け取ると枠を使いやすい一方、受給開始後は枠が埋まりやすくなります。また、年金形式は雑所得として国民健康保険料等の算定に影響する場合がある点も一時金との違いです。

6. 結局どうすればいい?

当サイトのNISA/iDeCo比較シミュレータには、本記事の式を使った受取時税の概算機能(一時金・前提付き)が組み込まれています。積立フェーズの税メリットと合わせて、大まかな手取りイメージをつかむのに使ってください。

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